ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【HUNTER×HUNTER 37巻】構成とか今後のこととか第4王子とかについて

舞台は船。暗黒大陸に向かう船上で始まった「生き残った一人が王となる」ためのカキン王国王位継承戦。14人の王子が争う中で、一般客がいる第3~5層ではマフィア同士の抗争が勃発。
カキン王国の王子たち、側近、護衛、ハンター協会員、マフィア構成員、幻影旅団と大勢の思惑が錯綜する話。


4年ぶりの新刊です。ありがてぇ。
本当にマンガ……!?と疑いたくなるような文字数と登場キャラの多さ。久々の新刊なので話についていけるか心配でしたが、特に問題は感じませんでした。
ただ「王位継承戦の終了条件」といういっちばん大事な部分をど忘れしていたので、33巻あたりから読み返すことに。

読み返して改めて感じましたけど、キャラの描き分けがすさまじいです。
一人ひとり見分けがつくのはもちろん、ぱっと見で人となりがなんとなくわかるのもすごい。加えて本当に生きているのではってくらい、皆それぞれ考えや信念をもって行動するのでぬるぬる動いて見える。

登場キャラが多くてもついていけるの、たぶん自分の記憶力がいいとかではなく作者さんの描き方がうまいからだと思います。
特に覚えていないキャラクターでも、読んでいるうちに所属陣営とスタンスがわかるようになっています。「この人誰だっけ?」と首をかしげずに済むのは、作者の話を組み立てる順番と情報の出し方が上手いからでしょう。
キャラクターの造形、考え方、行動パターンも個性豊かで、その上いろんな人の話が同時進行かつ読者にわかりやすくかけるってすごすぎないか?本当にぜんぶ一人で考えているのか……と思わずため息がもれます。

すげぇすげぇと感動しきりな一方で、どうしてカキンの王位継承戦がここで入ってくるのかは気になりました。ここでというか、そもそもなぜこれらの話が描かれているのか。ハンター協会あんまり関係なくないか……?
キメラアント編くらいまでは、ゴン、キルア、クラピカ、レオリオの4人を中心に話が回っている感がありました。ただキメラアント以降は、主要キャラ4人に焦点が当たりつつも「大勢の中の一人」という印象。クローズアップされているし読者の目を惹く人物ではありますけど、中心という感じはあまりしません。
そも、タイトルにもなっているハンターおよび協会から視点がずれてきている気がします。話がワールドワイドになっていて、ハンター協会も「たくさんの団体の中の一つ」だし周辺国・組織・人々に影響を受ける地に足着いた団体なのだと感じました。
だからこの先、視点がさらに広がっていくのかなぁなんて。世界全体を巻き込むような事件が起こったりするのだろうか……ジャイロとかジャイロとかジャイロとか。

話は変わって、第4王子について。
あの人めっちゃ怖いです。知力・暴力・行動力・権力すべて兼ね備えている上に性格凶悪って、誰に何するかわからんのでたまらなく怖い。早く退場してくれんかと切に願っています。
ただこれまで、嫌な人だなーと思っても一瞬で好感度爆上がることがときどきありました。現に37巻でも、第4王子に共感できる点はありましたし。
だから彼も、何かをきっかけに変わるかもしれない。自分の評価も彼自身の中身も。
前に「無知こそ罪!」みたいなこと言っていて自己紹介乙!と思ったので、もう少し謙虚になれたら意外といい王様になるんじゃないかなとか無理ですか無理ですねそうですよね。

ひょっとしたら少しは変われるかもしれません。しかし「壺中卵の儀」の内容的に、強い人たち(第1~第4王子ら)でつぶし合ってもらって、第5王子以降から王を出した方が国は盤石な気がする。
「より強い者が王になる」のではなく「強い者を土台に平凡な者が王となる」のがカキン王位継承の肝なのかなと。そうやって繁栄してきたのでは。怖。

話ついでに壺中卵の儀について。
モレナさん以外の組長2人は、現国王を決めるときの継承戦で儀式から逃れた(王位継承権を失った)から二線者になったと解釈してました。ただ今回読み返したことで勘違いだと気が付いた次第。
本当に儀式から逃れる術はあるのか、気になります。37巻を読んだことで”絶”状態を保ち続けて念獣を消せば、継承戦参加者と見なされないのでは、なんて考えてました。でもクラピカが考えないわけないのでどうなんだろう……。

王位継承戦は登場人物が出そろった印象ですが、マフィア抗争はまだまだこれからとなりそう。そも、継承戦オモシロイナーで考えないようにしてましたけど、これからまだ暗黒大陸編が控えているんですよね。いつ拝めるのだろう。白目。

今回新たに出てきたリンチさんが素敵すぎて黄色い悲鳴を上げそうになったので、読み返しながら次巻を待ちます。