ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【仮面ライダーBLACK SUN 3~10話】不思議の国のビルゲニア

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最終話まで観ました。
1~2話の感想でも述べたとおり『仮面ライダー』シリーズをこれまで観たことがありません。その状態でどこまでついていけるか心配でしたが、2話でだいぶアウトラインがわかってきて、どんどんおもしろくなっていきました。
すっごくおもしろかったです。ただラストがちょっと納得いきかねるというか、モヤモヤしました。

本作のテーマが「受け継ぐ」「継承」だとすると、言いたいことややりたいことはわかるんです。ただ同時に「主人公たちの戦いはなんだったの」と呆然としてしまうというか。
納得しがたいという思いと、そうなるよね~という思いがせめぎ合っていて、ただ今絶賛・気持ちの整理中。元作品や歴代シリーズを観ている人だったら納得のゆく結末なのかも……?

ただ仮面ライダーの世界観を土台に「現代社会と怪人」「バトル」をいろんな人たちの思惑を絡ませながら10話に収めきったこと、見事としか言いようがありません。複雑すぎず単純化しすぎず、古参ファンも新規も観ることができるものを作れるってすごい。

ストーリーだけでなく、人となりや関係性が興味深くおもしろいキャラが多かったです。以下、光太郎と信彦、ゆかりさんと葵ちゃん、ビルゲニアについて綴ります。


●光太郎と信彦
仲いいんだか悪いんだかよくわからない、不思議な2人でした。
幼なじみでともに怪人にされて、大人になってからも一緒に行動。少しメタい発言をすると太陽と月という対関係でもあります。仲はたぶん悪くないはずなのに、なんだかお互いへの興味が薄いというか、関心はあるけど拒絶している、みたいな。
よくわからん2人だ……と首を捻ってましたが、ふと「自分のような他人」ではなく「他人のような自分」とお互いを捉えているのかもと解釈したらいろいろ腑に落ちました。
限りなくイコールに近い2人が分離しはじめた最初のきっかけが、ゆかりさんだと思います。

●ゆかりさんと葵ちゃん
本当のところ、ゆかりさんがいったい何を考えていたのか。きっと光太郎さんや信彦に伝えていたことがすべて(と思いたい!)でしょうけども、それにしては矛盾したふるまいもあって「謎の人」感が強い。
たぶん彼女が共に生きてゆきたいと思ったのは信彦で、考えが合うのは光太郎だったのでしょう。じゃないとゆかりさんに情緒めちゃくちゃにされた信彦が浮かばれねぇ。そして光太郎さんの情緒めちゃ(略)は葵ちゃんだと思います。

ゆかりさん≒葵ちゃん とすると、葵ちゃんと信彦のやりとりがもう少し見てみたかったです。2人が同じ空間にいたことはあれど、会話したシーンってほとんどなかったような。葵ちゃんと接することで信彦がどんなふうに変わって(変えられて)ゆくか、想像すると楽しみなような怖いような。

葵ちゃんについてはまだ考えがまとまっていませんが、彼女と俊介君は光太郎-信彦と似たような関係なのだと思っていました。でも少し違った様子。葵-俊介間も考えるとおもしろいです。

●ビルゲニア
作中におけるよくわかんない人No.1(個人の感想です)。
変身後の見た目が一人だけ明らかに違うのもわかりませんし、そもそも何考えてんのかもわからん。同胞にする仕打ちじゃないだろ、胸が痛まないんか?と何度思ったことか。彼に限った話ではありませんが。

推測するに、彼は1~2個の行動指針に合う道を選ぶという、ごくシンプルな思考回路をしている気がします。そしてその指針とは「創世王を守ること」と「なるべく自分を生かすこと」なのでは。怪人と人間が天秤に乗ったら怪人を取るでしょうけど、基本は「創世王と俺か、それ以外か」という印象。
何をするにしても躊躇うことがほぼなくて単じゅ……モゴモゴ。躊躇がないぶん思い切りがよく、観ていて気持ちがいい人ではありました。
人に比べて揺らぐことが少ないという彼の特異性が、変身後のあの見た目になったのかもしれません。あとたぶん元があの造形なのだと思う。


あと他にもダロム、ビシュム、クジラさんノミさんコウモリさんに思いを馳せると楽しい。バラオムさんも気にはなるけれど人となりがよくわからない(すみません)。

ブラックサンがおもしろかったと『仮面ライダー』好きの人に話したところ、平成ライダーシリーズは話が複雑で大人も親しめると勧められました。
いちおしは『電王』らしく、観てみようかなと思います。