ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【僕のヒーローアカデミア】45~89話までの感想:ヒロインは誰だ!?

1~44話までの感想はこちら

雄英高体育祭から、対ヴィラン編最初の盛り上がり(?)まで読みました。たぶん百回くらい言われてるでしょうけど、ムーンフィッシュ怖すぎだし拘束されてる意味ぜんぜんないじゃんなんなのあれ……?

以下感想。長い上にネタバレしているので折りたたみます。

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【僕のヒーローアカデミア】44話までの感想

shonenjumpplus.com

誰しも”個性”を持つ時代に、”無個性”として生まれた主人公。ライバルの幼なじみや”個性”豊かなクラスメイトたちとともに、ヒーローを目指して奮闘する話。


アニメ6期が放送されるため、アニメに追いつく258話までが段階的に無料公開。何気なく読み始めたらやめどきを見失い、体育祭終了(44話)まで一気に読んでしまいました。
早く続き!続きが気になる!!と心が荒ぶるものの、現段階ではどうあがいても89話までしか読めないので……。情報を整理するためにも一旦感想を綴ることに。
長いので折りたたみます。

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【水曜日が消えた】おとぎ話的サスペンス

幼少期の事故によって≪月曜日≫から≪日曜日≫までの7人格にわかれた主人公。それぞれが好きなことを見つけて生活している中、≪火曜日≫だけは週一だけの生活に不満を感じていた。そしてある日目覚めると、そこは火曜日ではなく水曜日だった。初めて火曜以外を生きる≪火曜日≫と、彼に何が起こっているのかを追う話。


『消えた水曜日』ではなく『水曜日が消えた』なのがいいですね。
不思議なタイトルだな~と気にはなっていたものの、観るつもりは特にありませんでした。ただあるとき主演が中村倫也さんだと知り、観ることに。
ドラマ『岸辺露伴は動かない』で初めて拝見したときから中村さんの作品はなるべくチェックするようにしています。なんだか雰囲気が独特な方だなと。作品ごとに顔も雰囲気もガラッと変わるので、いまだに顔が覚えられません。

そんなカメレオン俳優にぴったりの作品。なにせ主人公は7人格。文字通りの七変化か……!と思いきや、出てくるのはほぼ≪火曜日≫のみ。肩透かしをくらいましたが、構成がとてもよくむちゃくちゃおもしろかったです。

まず開幕の映像がものすごく綺麗。
主人公が多重人格になったきっかけであり、分類するとしたら「つらかった記憶」になるはず。なのに空は青いし鳥は飛んでるし、辺りに散らばる物も色彩豊かでものすごく綺麗。つらさと幸せは背中合わせということでしょうか。
そして全体的に雰囲気がメルヘンというか、ファンタジーっぽい。たぶん主人公の設定や演出がそう思わせるのでしょう。最初は主人公の現状もよくわからないし、謎ばかりでちんぷんかんぷんの中進んで行くので「おとぎの国に迷い込んでしまった」感がありました。
そしてそんな中でちらほら漂う緊迫感。登場人物は少ないのに、主人公以外の誰もが何かを隠して秘密を持っていそうで怖いんよ……。
そこまで想定外のことは起こらないしわりと淡々と進んでいくのに、最後まで惹きつけられて目が離せません。
エンドロールを最後まで真剣に観たのも初めてなら、エンドロール後に泣いたのも初めてでした。泣く要素どこにもないはずなのに、なんかいろいろ考えてたら胸がいっぱいになってしまった。

最後に、多重人格(解離性同一性障害)について。フィクションに現実的見解を盛り込むのはつまらぬことよ……とは思いますが、いちおう臨床心理士なので。
今作の主人公の状態(多重人格)は、精神的ショックというよりもまんま脳の損傷が原因みたいなので、精神科領域で扱われる解離性同一性障害とは似て異なるものだと解釈しています。
とはいえ解離性同一性障害とかなり似ているので、治療者という立場からすると登場人物たちの言動にモヤ~ッとすることは正直ありました。ただ主人公たちが感じた「いなくなりたくない」という言葉に複雑な気持ちになるのも事実。

「自分以外の複数の人格がいる」って健康的ではありませんけど「必要があって生まれたものなんだよね」と尊敬する先生が言ってました。
ほくろも幻聴も自分以外の人格も、あったものがなくなるのってさみしい。

だからこそ今作の終わり方が輝くし、なんだか希望が持てるのだとも思いました。
できれば映画後の主人公の生活をもう少し見ていたいです。スピンオフでやってほしい。

【館シリーズ】ギリ解ける難易度の推理小説

シリーズ第4弾。顔がなく、どこか一ヵ所を欠落させた人形が佇む「人形館」。
療養を終えた「私」は、父が残した館に母と移住した。しかし密室下でのいたずらや郵便受けに入ったガラス片、脅迫状など身の危険を感じる中、ついに殺人事件が起こる。探偵役・島田潔が旧友を遠方から救おうとする話。

シリーズ第9弾。富豪家・影山逸史が所有する山中の「奇面館」。
<ある条件>のもと主に招かれた6人の客人たちは翌朝、主と思しき変わり果てた遺体を発見する。しかし季節外れの猛吹雪により下山もできない。客人の一人である小説家・鹿谷門実を筆頭に、屋敷の中で何があったかを探る話。

 

シリーズ第2弾。異端の建築家、中村青司が建てた「水車館」。
人目を忍ぶように暮らす車椅子の主人とその幼妻。一年に一度行われる会合の最中、殺人事件が起こる。密室下から抜け出し、いまだ逃走を続ける犯人。そしてその一年後、またもや会合の中で人が殺されてしまう。一年前と現在の事件の謎を探偵役・島田潔が解き明かす話。


「ごってごてのミステリが読みたい」と思い、連想したのが推理作家・綾辻行人氏の「館」シリーズ。現在は第9巻『奇面館の殺人』まで発売されています。
ごってごてのミステリとは、自分にとっては「密室」「連続殺人」「いわく付きのもの・場所」「複雑怪奇なトリック」などです。人間ドラマよりもシチュエーションやトリック重視。
「館」シリーズも人間ドラマ≦トリックで、何らかの仕掛け(隠し部屋)がある奇妙な館とそこで起こる不可解な殺人事件が共通しています。

今回は上に挙げた順に、人形館(4巻)・奇面館(9)・水車館(2)と読み進めました。
ただシリーズ第1弾『十角館の殺人』は10~20年くらい前に読んでいます。あとたぶん第5弾『時計館』も読んでいる、はず。どちらもかなりうろ覚えで、メイントリックがなんとなくわかるくらい。『時計館』にいたっては本当に読んだのかすら定かではありません。別の作品を混同してしまっているかも。
『十角館』は複雑怪奇なトリックというか、そうまでして殺すの!?とびっくり仰天した覚えがあります。登場人物たちの人となりや背景よりも、とにかく「特殊な館」と「あっと驚くトリック」がメインだった印象。

ただ今回『人形館』『奇面館』『水車館』を読んで、当時いだいた印象が少し変わりました。トリックメインなのは変わりませんが、個性的な登場人物たちをうまく配置している。あと「リアリティが保てるギリギリ」を狙っているように感じます。
ありえないし絶対無理じゃろ、ではなく、あるかもしれないしできなくもない……?と読者に思わせるような路線。荒唐無稽すぎてもいけないし、かといってあっと驚くような飛躍もほしいしで、この「ギリギリ」をゆくのがとても難しい気がする。

しかも巻ごとに微妙に趣きが異なります。奇抜な館とそこに集まる必然性、そしてトリックが違うのはもちろんですが、話の見せ方・展開の仕方が工夫されている。
『奇面館』はむごたらしい殺人と館や仮面の探索、『水車館』は過去と現在を行ったり来たり。そして『人形館』はちょっとうまく表現できませんが、とにかく「特殊」。その一言に尽きます。かなりの巻数が出ているのに、それぞれで趣向を凝らしているのすごい。
そしておそらく、シリーズものだからこそできるトリックもあるでしょう。9巻『奇面館』→2巻『水車館』と読んで「おや?」な点を見つけてしまいました。たぶんこれもどこかの巻でタネとして扱われているんだろうな。

できればすべて読みたいですが、少なくともあと『暗黒館の殺人』は読みたいです。文庫本で4巻まで出ているの、なんだか気合の入り方が違うように感じるので。『迷路巻~』も気になります。

【ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ】コンゴトモ ヨロシク

地球外生命体・ヴェノムと記者をしている主人公との共存生活、第2作目。
捕まった連続殺人犯の、死刑執行日が決まった。執行の直前に主人公とやりとりしたことで、男は同じような力を手に入れてしまう。死刑囚を止めるために主人公たちが戦う話。


観たいな~と思っていたらAmazon Primeで配信!思わずガッツポーズ。
ウディ・ハレルソン氏が最高でした。そこまで言動が振り切れてるわけでもないのに、表情と佇まいからわかる異様さ。
最初は「恋人と引き裂かれてかわいそう」とか思ってましたけど、恋人の方もだいぶヤバくて笑ってしまった。お似合いカップルですね。

お似合いといえば、ヴェノムとエディ。相性はさほどいいとは思いませんが(……)、ヴェノムが彼のことをいたく気に入っているのがほほえましい。序盤で痴話喧嘩はするは夫婦漫才はするは「甲斐甲斐しいが暴飲暴食と暴力をふるう妻」と「デリカシーのないクズ夫」に見えて仕方ありませんでした。
今作のテーマは「愛と友情(ホントか?)」なのでしょう。オーバーラップするようにヴェノムとエディ、クレタスとフランシス、そしてエディとアン、ダンなどが描かれていたのだと思います。

前作を観たときは気づきませんでしたが、マーベル作品なんですね。ぜんぜん気にしてなかった。
ということは『ヴェノム』もいつか他作品やヒーローズと混ざるのか。ひょっとしてもうクロスオーバーしている……?と思っていたら、まさかのラストで「あ、なるほど」とガッテン。いろいろと伏線らしき描写もありましたし、クロスオーバーか続編の制作は確実でしょうね。

正直、よくわからないなと思う部分はあります。フランシスが持つ人間離れした力や、ヴェノムが言っていた「赤はヤバい」の意味。そしてクレタスが力を得たわけ。
フランシスについては明らかに超能力っぽいので「こういう世界観なの???」と困惑しました。まぁヴェノムたち異性体がいるくらいだから超能力だって……ありなのか?このへんは他のマーベル作品とのつながりもあるかもしれません。

クレタスの力については、作中できっかけが描かれていたからわかります。しかしなぜあれだけの行為で力を得たのかが不明。あくまでもクレタスが特別ってこと……?もともと異性体たちは人間とは適合しづらい種族のようですし。
そもそもヴェノムたちの生態が謎。最初はいったい何を食べていたんだろう……。

たぶん他マーベル作品を観ていれば、より分かることがあるんだろうなぁとは思いつつ。作品はありすぎるしこれからもバンバン出すでしょうし、一度嵌ったら戻れない底なし沼だと思ってます。嵌るものか!
でもレルソン氏がもう一度出演するなら観てしまうかもしれない。そう思えるほど魅力的な悪役でした。

【ナイブス・アウト 名探偵と刃の館の秘密】映画になるべくしてなった探偵もの

ある資産家の85歳の誕生日。家族とともにお祝いした夜、その資産家は死んだ。自殺と思われていたが、名探偵・ブランのもとに匿名の調査依頼が舞い込む。資産家の死をめぐり、家族たちと名探偵が奔走する話。


ダニエル・クレイグ氏が探偵役ということでずっと気になっていました。続編がNetflixで配信されるそうで。めでたい!

内容は「ザ・探偵映画」という感じ。小説ではなくあくまでも映画、映像向きの作品だと感じます。
なにせ登場人物が多い。資産家の子供たちとその伴侶、そしてさらにその子供(孫)たち。お手伝いさん、看護師さん。
小説だったらきっと故人とのエピソードや登場人物同士の会話でキャラに厚みを持たせられたでしょう。ただ今回は映画なので、俳優さんの演技によって視覚的・直観的に人となりがわかります。見分けるのも余裕だぜ。
故人との間に起こった「秘密にしたいこと」がみんなそれぞれ異なる点からも、人となりが十分伝わってきて見事だと感じました。

そして二転三転するストーリー。
資産家の死にまつわる話もそうですけど、残された家族たちへの「ある課題」から、中盤で攻守逆転するのがすごくおもしろかった。
序盤の登場人物紹介&当日夜に何があったかの回想後は、ひたすら状況が高速反転していきます。まるでオセロをひっくり返すみたいに。視聴者は探偵だけでなくいろんな人たちの目線に立てて「実際に何が起こったのか」がわかるため、非常にハラハラさせられました。
ただラストの探偵の解説は、納得できる部分と腑に落ちない部分があります。その推論はわかるけれども、やや爪が甘いのではないかと。
とはいえ映画としても探偵ものとしても非常にうまく話が練られていて、よく考えたなと思いました。完成度が高いです。あとサスペンダー付きスーツを着こなすダニエル・クレイグ氏がシンプルに強い。

これだけ1作目がおもしろいと、2作目はいったいどうなるのか。やりつくした感がありますが、新しい趣向を凝らせるのから2作目を作るのでしょう。気になります。
次作の主な舞台(?)は豪華客船でさらに華々しくなりそう。

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【鍵の掛かった男】珍しくワトソン・アリスが大活躍

あるホテルに5年滞在し続けた男が、部屋で亡くなった。警察は自殺と断定したが、推理作家・有栖川有栖を経由して火村英生のもとに再調査の依頼が舞い込む。謎につつまれた男の過去を、推理作家と大学の准教授が解き明かす話。


作家アリスシリーズを初めて手に取ったのは中学?高校?くらいのときのこと。
『ダリの繭』ハードカヴァー版の装丁を何かで見かけて一目ぼれして、わざわざ書店で取り寄せてもらった覚えがあります。真っ黒い表紙に、天地やのども黒くなっていて凝った造りでした。なつかしい。
調べたら『46番目の密室』や『海のある奈良に死す』『朱色の研究』なども昔の文庫版とは装丁が異なっているんですね。月日の流れを感じる。

シリーズは『怪しい店』まで読んでいましたが以降は未読。だったところ、ずーっっっと読みたいと思っていた『鍵の掛かった男』をなんとなく「今だ!」と思い読むことにしました。

タイトルからして名作臭がただよう……と思っていたら、案の定とてもおもしろかったです。
「自殺か他殺かわからない」というのは推理小説ではときどきあるものの「被害者の過去から洗っていく」物語は珍しい気がしました。
そもそも何が謎なのかがわからない。強いて謎と呼べるものは、亡くなった男性が「なぜホテルに5年も滞在していたのか」「どのような生き方をしてきたのか」くらい。死因にも状況にも不自然な点は一切ありません。

男性がやりとりした人々の話を手繰り寄せるようにかき集め、かすかな手がかりを飛び石に男性の半生を追っていく。ここまでの前半パートは、語り手である「私」有栖川がほぼ一人で調査します。
この点も珍しいなと思っていて、火村シリーズは火村・有栖川のバディで調査することが多い印象。有栖川ピンもなくはないですが、単独調査かつめざましい成果を上げるのはやはり珍しい気がします。探偵役はあくまでも准教授なので。
アリス快挙だな~と思っていたら、准教授が合流してからの追い上げがすさまじかった。さすが探偵役、おそるべしという感じ。
ごってごての物理トリックも嫌いじゃありませんが、他者の言動や状況から推論に推論を重ねて真相にいたるのも良い。なるほどそう考えるのかと、思考の切れ味を目の当たりにできて感動します。

思考の切れ味というと、終章の6である人が最後に言ったことに感心しました。そういう考え方もあるのか、と。自分にはなかった考えだったのでハッとさせられた。ただ本人に言わんかーいとも思いましたが。

他にもさまざま、感嘆したりうるっとさせられたりするシーンがありました。
作家アリスシリーズは、どれも一人でちびちび酒を飲みながら読みたくなるものばかり。落ち着いた静かな場所で、じっくりかみしめたいというか。シリーズの中でも本書はその最たるものだと思います。
次は『インド倶楽部の謎』が読みたいです。