ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【ドクター・スリープ】前作・今作のサムネイル対比がおもしろい

スティーヴン・キング原作。映画『シャイニング』の続編。「シャイニング」と呼ばれる特殊能力を持つ子供たちと、その子供たちを狙う敵集団との攻防を描いた話。
父親の仕事の関係で、幼少期に呪われたホテルで過ごした主人公。ホテルでの体験は彼の人生に大きな影響を与えていた。そして成人した今、能力者を狙う集団との戦いで再びホテルを訪れる。


劇場へ行こうかものすごく迷った作品。Amazon Prime対象となってくれて圧倒的大感謝……!もうアマプラの方角に足を向けて寝られない、とかわけのわからんことを言いたくなるくらいありがたいです。合掌。

めっちゃ観たかったのに劇場へ行かなかったのは、前作『シャイニング』の内容をよくわかっていないからです。
ちなみに『シャイニング』は小説未読。『シャイニング』のみならずキング氏の小説は読んだことがありません。どうしてないんだ……?(自問)
あと触れたことがあるのは『IT/イット ”それ”が見えたら終わり』と『ダークタワー』、『ショーシャンクの空に』、それと20年ほど前に『スタンド・バイ・ミー』を劇で観ました。それくらいです。

(↑)内容を知らない人でも一度は目にしたことがあるだろう超有名な写真。たった一枚でここまでヤバさを伝えられるのがすごい。
今でも襖や引き戸があると顔を挟んでシャイニングごっこがしたくなる、それくらいインパクトがあると思います。

映画『シャイニング』は、あった出来事は覚えているものの内容を説明できません。これこれこういうことがあって~という事実は伝えられるけれど、それがいったいどういう意味を持つのかがわからない。
自分の中でまだ咀嚼できていないのだと思います。それでも今作『ドクター・スリープ』を観るのに特に差し支えることはありませんでしたし、すごくおもしろかったです。

今作は骨格だけ見ると「ダークタワー味のあるシャイニング」という印象。ホラーというよりバトル寄りで、能力者同士の戦いが中心です。怖さは控えめ。前作を踏まえたホラー要素はあるものの、一度観たことがあるためか実家のような安心感。
「ホテルに狂わされた」点は同じなのに、オトンと息子とで辿る道や得るものがまったく異なるのが興味深いと感じました。この違いはどこから来るのだろうと考えるとおもしろいです。

そして作中での「死」の扱い方がやや特殊。前作では特に感じなかったテーマなので、なぜ今作に入っているのか不思議でなりません。
キング氏の作品はすべてつながっていると耳にしたことがあります。だから前作・今作にとどまらない、作品すべてに流れる通奏低音のようなものなのかな~なんて想像しました。
ホスピスで看取りをする主人公と永遠の命を望む敵集団、そして今も主人公の前に現れる師匠。ラストの主人公とアヴラさんといい、厚みのある関係性だと思います。

上映時間2時間半という、最近の映画にしてはなかなかの長丁場。それでも最初から最後まで中だるみせず進んで行くのが見事としか言いようがありません。
タイトルの意味がよくわからなくて不思議でしたが、観て納得。しっとりとした余韻の残る作品だと感じます。