ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【牛首村】いろんな「怖さ」の詰め合わせ

牛首村

ある動画に映っていた、自分そっくりな女の子。その子に会うため、田舎町の廃ホテルへ主人公は向かう。その前後で見舞われる怪奇現象と、現象の理由を解き明かそうとする話。


犬鳴村、樹海村に続く「村」シリーズの第3弾。
上映当時、映画館に行こうか迷っているうちに終わってしまったのでした。しかし早々にAmazon Primeで配信が始まり嬉しいかぎり。

1作目『犬鳴村』は半分くらいまで観ました。ただ2作目『樹海村』は一切観たことがありません。それでも今作を十分楽しめたので、前作・前々作を未視聴でも問題ないと思います。
ただひょっとしたら設定につながりがあったり、登場人物がかぶっていたりするかもしれません。実際、今作で「おや?」と思うシーンがありました。なので1・2作目も観た方がより楽しめる気はします。

今作は怖さもグロテスクさもそこまで強くありません。終盤、少しグロいのと虫注意があるくらいでびっくりポイントもほぼなし。この点が個人的に嬉しかったです。ホラーは好きですし観たいですが、突然現れて「わっ!」とされるのは苦手。
中盤以降よりも、序盤3分の1くらいまでが怖かったと感じました。序盤の怪奇現象は現れ方がさりげなくて、思わず視聴者も見逃してしまいかねないほど。
さりげない怪異って、実際に自分にも起こりそうな気がして怖いです。視界の端にチラッと何かが映り込むとか。見間違いか、でもなんだか変な感じがするぞ、と思える「何か」ってコワイ。
と同時に、誰にも気づかれない怪奇現象に果たして意味はあるのか。誰にも気づかれないほどさりげないのは可愛いし、可哀想だなとも思いました。

お話については、正直少し物足りなさがあります。
「ウシノクビ」の怪談や廃墟探検、洞窟、お地蔵様、双子など「いかにも」なワードが散りばめられているのに、どれも活かしきれていない感じがするというか。中途半端な気がしました。
本当は細かな設定はいろいろあれど、物語がギリ成り立つくらいまで削ぎ落した印象。だからかはわかりませんが、終ぞよくわからず仕舞いだったこともありました。あのシーンどういう意味だったんだろうとか、あの人なんで襲われたんだろうとか。
ホラーは論理・辻褄が合うかどうかよりも雰囲気重視、細けェことはいいんだよォの精神で観ています。ただ意味ありげに出てきたことが語られないままだったので、若干置いてけぼりにされた感じもあり。
「意味がありますよ~」みたいな顔して出てこられると、その謎解きや解説を期待してしまう。しかも本当は細かな設定がもっとありそうにも見えたので、消化不良というか心残りが満載でした。
これはひょっとしたら補完本を読んだ方がいいのか……。


あまり語られずモヤモヤする部分もありましたが、最後に主人公が取った行動には感心させられました。
怪異を生み出すのが人のほの暗い部分だとしたら、翻って主人公たちが「明」の言動をするのがいい。あと「暗」だと思っていたことがひっくり返ったりとか。伏線が活きる作りになっていて、よくできています。

あと内容には関係ありませんが、今作がデビュー作だという主演のKokiさんについて。
ちゃんと見るのは初めてで、パッと目を惹く方だな~と思ったのと歩き方がめちゃめちゃ独特だなと。靴のせいなのかモデルという職業柄かはわかりませんが、足の運び方がおもしろい。横向きに歩くシーンで全身が映っていて、思わずまじまじと見てしまいました。


なぜか2作目『樹海村』はまったく琴線に触れなかったんですけど、いい機会なので観てみようかなと考えています。あと途中でやめてしまった『犬鳴村』も。

樹海村

樹海村

  • 山田杏奈
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