ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【(r)adius】SF(少し不思議な)サスペンス

(r)adius/ラディウス(字幕版)

(r)adius/ラディウス(字幕版)

  • ディエゴ・クラテンホフ
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半径15m以内の生き物を即死させてしまう力を持つ男性と、その力を無効化できる女性。ともに記憶を失った2人が手がかりをたぐって「自分たちの身に何が起きたか」を探っていくお話。

ふれこみは「SFシチュエーション・スリラー」でなんじゃそりゃ!!? と設定が気になり視聴しました。上のサムネイルもそうですけど「半径(r)15メートル以内 全/員/即/死」の煽り文句が強すぎる。

内容はもうめちゃめちゃおもしろかった……! もっと超常現象部分を大きく取り上げているのかと思いきや、かなりサスペンスでした。
逆にSF要素はなくてもいいんじゃないかと思うほど。SF要素が話を盛り上げてくれておもしろさ倍増なものの、そこを期待した人にとっては肩透かしかつ物足りなかったのではと想像します。
おもしろかったですけど、本当にどうしてSF要素を入れたんだろう。そこだけが謎。「どうせやるなら派手に!」ってことなのか。

記憶のない主人公2人が、今どういう状況なのか? 何が起こったのか? を求めて少しずつ情報が開示されていくのが本当におもしろかったです。ミステリー要素満載。
視聴する側も最初は何があったのかサッパリで、2人と同じ速度で話を追っていく。ただ俯瞰できる立場にいるので、ヒロイン側の状況がだいぶ明らかになった時点で「2人に何が起こったのか」「これからどうなるのか」が推測できます。この推測できるようになっている、演出の仕方が上手いしにくい!
話のあちこちに散りばめられていたピースが合わさって「何が起こったか」わかったときの「うわぁ↑」と「これからどうなるのか」が予測できたときの「うわぁ↓」が本当にもう……言葉になりません。
ラストは賛否両論かもしれません。どうなんだろう。ただ主人公は、ヒロインがかつてかけた言葉を真実にしたんだなぁと。そう思うと胸熱。
ですが主人公が最後に取った行動は、あの場所とあの場にいた人たちへの冒涜以外なにものでもありません。「この選択しかなかった」のはわかりますが、テメーこの場をなんと心得るか! と胸倉つかみたくなる。治安悪い。

あと作品とは直接関係ありませんけど、秘密はなるべく抱えずにオープンにした方がいいと思ってます。
今作にかぎらず「まだ言えない……」とためらっている人を見るたびに「言え! 早く打ち明けるんだ!!」と肩を掴んで揺さぶりたくなる。
映画やドラマにおける秘密って、口を閉ざすその1秒ごとに自他の首を絞めていくものですから。君が早く言ってくれればあの人は死なずに済んだのだが? という場面をいったい何度観たことか。
秘密のみならず、思っていること・考えていること、見聞きしたことも、悪口でなければなるべく言葉にした方がいいのでは。秘密って、秘密状態を維持するのにかなり労力がかかりますし、守るために行動が制限されたりする。かなり不自由を強いられます。

ということを、映画を観ながら考えてました。主人公たちも周囲の人にちゃんと説明して、助けを求めていたらまた違った道があったかもしれません。結末そのものは納得度高いですし、「言うは易し」だし協力求めたら話が成り立たないのもわかりますが。

同じ制作陣が携わっているという、こちら(↓)もいつか観たいです。いつの間にか見放題期間が終わっててガックシ。