ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【ブレードランナー2049】生きる意味とは?

公開当時、劇場で観ました。

前作(と言ってもいいのか…)は、今作を観るために直前に視聴。ただこれといって特に感想もなく、失礼ながらあまりおもしろい気もせず……。
「2049」もさほど期待しないまま、ただ前作からどう続くのかが気になって観に行きました。

行ってよかったです。大画面で観られたこともそうですし、そもそも観に行ってよかった。心底そう思いました。

 

「2049」の主人公は、話全体を俯瞰するとすごくわき役です。
では俯瞰したときの主役は誰かというと、やっぱりハリソン・フォード氏。前作に出ていたこともあって目立つし、氏を抜きに続編は作ることができなかったでしょう。

その点、今作はすごくよくできていると思っていて、ハリソン・フォード氏が出演すると主人公が霞む。でも氏に出てもらわざるを得ない。そこをうまくカバーした話だと思いました。

 

主人公Kは、主役なんだけれどわき役。でも主役。「人は誰でも、自分の物語の主人公」を地でいっています。

Kはいったい何をしたか?
偉大なことをしたかというとそんなこともなく、全世界から見たらとてもちっぽけなこと。彼の行いを知っている人もごく少数でしょう。
しかし、自分の存在をずっと確信できずにいた彼にとっては、とても大きなことだったのではないか。そんなふうに思えてなりません。

 

絶えず自分の存在意義や価値に悩み、苦しみ、そして寂し気に見えた主人公。そんな彼が作中で行ったことは、まさしく「自分が生きていく」ための礎になったのではないかと思います。

誰が見ていなくても、認められなくてもよくて、ただ自分が自分を「生きている」と実感し、誇るための所業。もしこの先ずっと一人きりだったとしても、今回の行いを糧に胸を張って生きていけるのではないかと、そう思いました。

 

映画を観終わって、「生きているとはこういうことだ」を見せてもらった気がしました。
ひとり、力強く生きていくこと。たとえ生に何の意味も価値もなかったとしても、ただこのことを目指していきたいものです。