ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【学校の怪談】殿堂入りしている最古作品

午後のロードショーで7月22日(金)に放送と知り。DVDを持っているので放映に先駆けて久々に視聴してみました。
観るたびに、初めて映画館で観たときのことを思い出します。映画館では1~3まで観ました。
当時、自分はまだ小学生。親に連れていってもらってめちゃくちゃおもしろくて、大人になってからも忘れられずDVDボックスを購入。子供向けの、しかも一度観たことのある作品にお金を使えるなんて自分も大人になったもんだと思いました。感慨深い。
もう5~6回は観てるのに、それでもおもしろいってどういうこと……? そういえば、当時一緒に行った父も「おもしろい」と言っていたことをふと思い出しました。
最初は予定が合わない母の代行だったはずが「1作目が思いがけずおもしろかった」ので2・3も一緒に行ったと、のちに父が言ってました。大人になった今、父の言っていたことがよくわかります。完全同意。

子供のときは2>1>3の順で好きでした。2は登場人物がみんなかわいくて、掛け合いがおもしろかった。人形もおどろおどろしくて怖く感じたことを覚えています。
ただ今は1>2>3の順。ストーリー性・登場人物の魅力・構成とすべてにおいて1が最強だなと思います。
1はとにかく、怪談スキーの心をくすぐるシチュエーションが満載。鳴りやまない電話、赤い服の少女、旧校舎、ホルマリン漬、人体模型、音楽室、古いトイレ、口裂け女、謎の埴輪、魔法陣とこれでもかぁー! というほど浴びることができて爽快。当時の愛読書は『学校の怪談』シリーズだったのもあってか「旧校舎」というシチュエーションにひたすら滾ってました。


映画の話に戻ります。大人になって改めて観てみて、作中にびっくりポイントがないことに気づきました。どちらかというと、カメラワークを工夫している印象。
ありえないほど高いところからのアングルとか、登場人物を中心からちょっとずらして配置して背後の奥行まで見えるアングルとか。何かが超常的なものがその人を見ているのでは、奥から何かが飛び出してくるのでは、と感じられる不穏なアングルです。
登場人物の描き方もうまくて、状況が多く語られないのにふるまいと少しの会話で人となり・背景が推測できるようになっていて、しかも「子供にもちゃんと伝わる」のがすごいなと。

子供だったときは、中村君や篠田さん、瀬川くん、香織ちゃんに感情移入してました。ただ今はダントツで小向先生です。
大人である先生の「子供だったとき」が描かれるのもいいなと思っていて、終盤で先生が「子供だった自分」とシンクロするところがグッときます。
子供だったときと大人の今は地続きでつながっているけれど、大人だからこそ子供のときには気づけなかったこと、見えなかったものがある。「子供と大人の冒険」がこの映画の醍醐味なんじゃないかなーと思いました。
一夜の冒険が終わって、生還した子供たちにはこれからも日常が続いていく。いったいみんな、どんな大人になるんだろうなぁと。

1は終わり方もすごく好きです。死者を置いていかねばならない悲しさと、新しい関係を築き歩みを止めない子供たちのエネルギッシュさ。そのエネルギーがまぶしいです。ただまぶしすぎると感じないあたり、自分もまだ童心を持っている……のか? と思いたい。
なんにせよ、『学校の怪談』シリーズは今の自分を形作った作品の一つだと感じます。ただ思い出すのは、当時「香織ちゃんが実は幽霊で、一人逝くのが寂しいからみんなを閉じ込めたのでは?」という「香織ちゃんラスボス説」を考えていたこと。
そんなダークな展開(あってもいいですけど)観た子が泣いてまうやろ……と今ならわかる。ホラーやちょっとえげつないミステリーが好きなところも昔からなんだな、と思い出しました。