ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【リング】何が怖さを煽るのか

初めて観たのは小学生のときでした。上映されていたことはまったく知らなくて、でも親は知っていたのでしょうね。ビデオを借りてきて、家族全員で夜中に観賞。「ホラー借りるなんて珍しいなー」と暢気に思ってました。
今にして思えば、劇場で観なくて本当によかった。これ、まったく筋を知らない人が映画館で観ていたら、怖さのレベルが尋常じゃないと思う。本当に気の毒……! と合掌したくなります。

家で観たときも相当怖かったです。中盤くらいまで特に何も思わず観てて、ラストのシーンで度肝を抜かれました。何も知らなかったからだと思います。「ラストが怖い」と知っていたら、たぶんあそこまでの衝撃はありませんでした。

以来、自分の中ではホラー映画=リング、という図式になっています。

最近観返したのですけど、この作品は終盤まで、心霊現象はそこまで描かれないのですね。幻視っぽい描写はちょこちょこあるものの、びっくりポイントもほぼなし。音楽・アングル・間でひたすら怖さを演出しています。

 

びっくりポイントはびっくりポイントであって、「怖さ」とはまた違うものであると。ずっとそう思っています。

では「怖さ」とはなんなのか。ジェイソンとかエイリアンとか、いわゆる怪物に追い回されて感じる「怖い」と、怪談話に感じる「怖い」は別ものと思いつつ、怪談・幽霊に感じる「怖さ」がいったいなんなのかがわかりません。

怪物に追いかけられる方はシンプルだと思うんです。なぜなら命の危険があるから。もし捕まったらひどい目に遭うだろうし、死ぬまでの間ずっと苦痛を味わい続けなければならないかもしれない。そういった予感からくる恐怖。
「生きるか死ぬか」といった極限状態と、怪談話による恐怖は明らかに質が違っていて、後者は「よくわからないことへの怖さ」ではないかと想像しています。この「よくわからないこと」がまたよくわからなくて、たとえば携帯電話とか仕組みまったくわかりませんが、別に怖くはありません。いや世の中には怖いと感じる人もいるかもしれませんが、たぶん少数だと思います。

 

何が言いたいのか、よくわからなくなってきました。

まとめると「怪物に追われて身の危険を感じる」系の怖さと、「わけわからんことが起こってて不気味」系の怖さは別ものではないか。そして後者は描くことが難しいのではないか。以上です。

リングにも「怪物に襲われる系」のパニック・スリラー要素はありつつ、「わけわからん系」の怖さが大部分を占めています。なんとか、意図的にこの怖さを演出できないか。映像を使わず文字情報のみで、どのようにして「わけわからん怖さ」を演出できるか。最近、そればかり考えています。

 

今まで観た映画の中で「リング」を超える「ホラー作品」にはまだ出会えていません。ホラーの中のホラーだと(勝手に)思っています。

ただ「回路」も相当怖かったです。何が起こっているのかよくわかりません(そこがまた怖い)でしたが、いつかもう一度観て怖さ分析がしたい。