ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【アフターゴッド】目を逸らすべからず

たぶん100人が100人、口をそろえて言うだろうことは、出だしに登場する神さまがすっごく綺麗。美しい。
「神」という説得力が半端なくて、これぞ漫画…! と初めて読んだときに思いました。

 

舞台は、突如現れた神に侵攻された日本。現代が舞台ではあるものの我々が暮らす日本とは姿が異なっていて、出現した神に合わせた(?)生活様式です。なのでまるで異文化のように感じられて興味深い。

神がなぜ現れたのか、何を目的としているのかはまだ全然わかりません。これから少しずつ明らかになっていくのが楽しみです。

 

1巻を読んでいて思ったのは、まっとうな大人がいることへの安心感と「目を逸らしてはならないもの」の存在。

まっとうな大人・代表が時永さんです。主人公(未成年)を守るべき対象と認識しているし、どんなに可愛かろうが恋愛対象だなんてこれっぽっちも思っていなさそう。なので見ていてとても安心します。
ただ時永さん、あまりにも和花さんが「未成年である」ことを主張していて、いや未成年だし正しい姿勢ではあるものの、描き方に少し違和感があります。何かこの先のストーリーに関わってくるのかもしれません。

 

そしてもう一つ、目を逸らしてはならないもの。
神の目は基本、見てはならない逸らすべきものとして描かれています。ただそれとは逆に、目を逸らしてはならないものもあって、それは自分の弱さだったり、周りにあるひどい環境だったりとさまざま。
自分の内外にある直視すべきもの、避けてはならないものと、避けるべき神の目。その対比がおもしろいと思いました。

 

表紙からして、もう、めちゃくちゃ格好いい。目を逸らさない主人公の目が隠されているって演出がニクイです。
目ってそのキャラクターの特徴が出やすい部分なのに、表紙でそれを隠してしまうと、こんなにも不気味でミステリアスな感じになるのかとハッとしました。

 

作者・江野朱美さんの著作はほとんど読んでいて「自分の生きづらさの正体」を言語化してくれる作品が多いと感じます。だから読み進めていくうちに、かならず感銘を受けます。

きっと物語が進んでいくと、1巻に立ち返ったときに新たな発見や感動があるんだろうな、と思いつつ。まだ導入という感じなので、これからどうなっていくのか気になります。