ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【サブウェイ123 激突/アンストッパブル】トニー・スコット監督×デンゼル・ワシントン氏の「2大列車もの」

地下鉄「ぺラム123」の先頭車両がハイジャックされた。犯人グループは人質19人の命と引き換えに現金1000万ドルを要求。その無線連絡をたまたま取った職員のガーバーは、犯人から引き続き「窓口」として連絡役を指名されてしまう。
不祥事により内部監察中の地下鉄職員と、ハイジャック犯の駆け引きを描いた話。

全長約800メートルにも及ぶ貨物列車777号が、作業員のミスにより無人のまま走り出してしまった。有害な薬品を載せており、数時間後には市街地で横転することが予測される。暴走列車を止めようと、鉄道関係者たちが奮闘する話。



タイトルの「2大列車もの」は勝手に名付けました。
どちらも列車が主舞台でW主人公。ただテイストはまったく違っていて、前者『サブウェイ』は心理サスペンス寄り、後者『アンストッパブル』は手に汗握る爽快アクション系です。
両作品ともめちゃめちゃおもしろいので定期的に観返したくなります。さらに片方を観るともう片方が観たくなる。どちらも各々で完成されていながら、作風が異なるので飽きません。打ち消し合うことも反発することもなく、どちらかというと補完し合う感じ。違った栄養がとれます。

『サブウェイ』は映画館で2回観て、さらにDVDも持ってます。
地下鉄職員を演じるデンゼル・ワシントンとハイジャック犯役のジョン・トラポルタ、この2人のやりとりが見ていて小気味良い。会話のテンポがいいのももちろん、やりとりされる内容が噛めば噛むほど味がでるスルメ系の味わい深さがあります。
体格、経歴、辿る運命といい対になる2人だなと。実際、片耳につけているピアスもお互い逆位置ですし。
車内と管制室という物理的に離れた2人が音声でのみやりとりします。しかし、なんだかずっとアクリル板に仕切られた個室で向かい合っている感じがしてなりません。
ずっと独特の空気が流れていて、この2人だからこそ出せた雰囲気なのではないかと思います。

アンストッパブル』は実家にDVDがありました。定期的に観返したくなるので自分用に買おうかなと考え中。
何度も観ていてあらすじも結末も知っているのに、それでも観ている間はハラハラしてしまう。撮り方も相まって、近づこうとするものを容赦なく薙ぎ払う暴走列車のモンスターっぷりがげに怖ろしい。
列車、本当に速くて近くで見たらものすごく怖いだろうなと思いました。いったいどうやって撮影したのか。『サブウェイ』もですけど、安全面めちゃめちゃ気を遣ったろうなと思います。

両作ともデンゼル・ワシントン氏ともう一人主人公がいます。『サブウェイ』では地下鉄職員とハイジャック犯、『アンストッパブル』ではベテラン職員と若手車掌。この主人公同士の関係性も作品ごとに違っていておもしろいです。
『サブウェイ』は「限りなく似ていて違う2人」、一方『アンストッパブル』は「違っているように見えて似ている2人」という印象。
そして主人公たちの周りを囲む、脇役の人々も魅力的。『サブウェイ』の市長はなんだか憎めなくて好きだなと思いました。

昔は演出・雰囲気・音楽ともに『サブウェイ』に軍配を上げていましたけど、今は『アンストッパブル』も同じくらいよいな……と思うようになりました。ラストの爽快感がたまりません。
ちょっと前に観た『アイス・ロード』にたぶん『アンストッパブル』のようなスカッとさを求めていたのでしょう。『アンストッパブル』を観てそのことに気づきました。
対して『サブウェイ』は観終わったあと神妙というか、ほのかにしんみりとした気持ちにさせられます。ヒャッハーなテンション爆上げ『アンストッパブル』を求めるのは、日常生活で疲れている証拠かもしれません。