ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【カンフーハッスル】主人公をさがせ!

ギャング<斧頭会>の刺客たちと、貧困街にあるアパートの住人たちの攻防を描いた話。最後まで立ち続けるのは誰か?


映画館での上映時から気になっていた作品。いったい何年越しかと思いつつもようやく観ることが叶いました。
普段はミステリ・サスペンス・ホラーばかりで、だいたい人が死にます。だからたまには誰も死なない作品を観……と思ったら初っ端から死んだ。しかもけっこう豪快なお亡くなり方。ギャグに重きをおいたほのぼのコメディ系かと思いきや、なかなかハードな掴みです。

ただハードなのは序盤くらいで、あとはわりと軽いノリです。シリアス・ギャグのどちらかに寄せることはできたでしょうけど、真ん中のちょうどいいバランスでした。
遊び心やじーんとくるシーンも入れつつ、バトルめちゃめちゃ格好いい。え、あなたが戦うの!?と意外でもありました。というかアパート陣営は毎回意外な人物が名乗りを上げるのでおもしろかったです。
数回にわたる戦いはどれも趣向が凝らされていて観ていて飽きません。敵も味方も戦い方に癖があるのがいい。
あと敵も味方も、戦って倒されてはより強い者を召喚、倒されてはより強い者を……となっていくのがなんだか可笑しかった。そんなふうに選手がどんどん入れ替わっていくので、誰が主役なのか折り返しくらいまでわかりませんでした。
いやちゃんとあらすじを読むか、事前に出演者をチェックしていればすぐわかると思います。自分は怠っていたのでわからなかった。ただそれだけのこと……。

そしてバトルの合間に挟まれる、キャンディーの君とのいきさつがしみじみと効いていました。バトルシーンがソース系の大味だとしたら、キャンディーの君との話はほのかに甘酸っぱい感じ。
キャンディーの君にとって主人公は最初からヒーローだったわけですが、力が伴っていませんでした。「誰かを助けたい」と強く願う人は、叶えるために武力を持たなければならないのか、とはここ最近気になっていることです。心優しいだけでは駄目なのだろうかと。
さらに今作の主人公は、心優しさや勇気を一旦捨て去るところが興味深いです。彼が大成するためにこの過程がなぜ必要だったのか、どのように役だったのかを想像するとおもしろい。


カンフーつながりでいつか観たいと思っている『少林サッカー』。なんとなくノリが『カンフーハッスル』と似てそうと思っていたら、監督さんが同じようで。
機が来たらこちらも観ようと思います。今度こそ誰も死にませんように。