ほねぐみ

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【僕のヒーローアカデミア】27巻以降の感想:それいけ!子供たち

過去の感想はこちら↓
1~44話45~89話90~134話135~188話189~258話

無料公開分を読み終わり、259話からはコミックスを追っています。27巻から始まって現在発売されている36巻まで。
29巻の表紙がすごくいい。あと35巻も。

最新刊まで読んだことで新たに気づいたオーバーラップや、轟一家、かっちゃん、解放軍のことなどを綴っています。ネタバレあるので折りたたみ。

 

今回も感情をガッスガッス揺さぶられました。
236話がピークだと思っていたのに、しかし甘かった……。「一番暗いところにたどり着いたと思ってた。でもね、その先に、もっと暗い闇があったんだ(うろ覚え)」と『MONSTER』のヨハンが言っていた意味がわかる気がします。

27巻以降で興味深かったのは、轟一家とデク君家出騒動です。まず轟家から。

●轟家お家騒動
頑張っているエンデヴァには耳が痛いでしょうが、自分とは別人格である子供を自己表現のため用いようとした結果が「今」だと思います。
そうして出てきた問題を家庭内で全部抱えよう、解決しようとしたツケが如実に表れている。機能不全家族あるある。というか、こじれちゃった場合に家族内ですべてを解決しようとするのは無理があるんですよね。
だからもっと早く外部に助けを求めていたら、もう少し違った結果になっていたと思。今さら言ってもしゃーないですが。
さらに言うと、自分の気遣いやコミュ力不足で生じた問題を配偶者に丸投げするのもあるあるだなと。オトンあるある。
しかし荼毘=燈矢君が死んだとされるまでの経緯が想像以上にひどかった。「訓練所に成果を観に来てくれ」って言われてて行かなかったんかーい、どんだけ意気地ないんじゃエンデヴァおめぇの息子だろうがよぉ。
「火力の上げ方しか教えてくれなかった」もマジかよとしか。これ、心理的な意味合いも含まれているのでしょうが、自身の炎で火傷しちゃう我が子に火力調節を教えなかったって親としてヤベェ。
一人で焼かれるの、寂しかったしめちゃめちゃ怖かったろうな。

エンデヴァの病室で、家族みんながそれぞれ「あのときああしていれば……」と悔やむシーンがありました。たしかにそうなんですけど、最初に言った通りこじれた家族仲を内部の人間だけでどうこうするってけっこう大変だし難しいです。
だから、外の人間にも責任がある。たとえば燈矢君の学校関係者。健康診断で身体の傷が問題視されていてもいいはず。『ヒロアカ』内の制度がどんなふうになっているかはわかりませんけど、これが現実世界だったら問題にしていなきゃいけません。きっとNo.2の息子だから~で見過ごしてたんだろうなちくしょうめ。

本来なら、まだ子供だった冬美さん・夏雄君に非はありません。単に周りの大人(両親&関係者)がしっかりしなさいという話。
でも轟家変化のきっかけは轟君で、その轟君もデク君のお節介により変わることができた。「年齢関係なく人は人を救える、支えることができる」という見方をすると、冬美さんと夏雄君の後悔もたしかにそうだなと。

肝心の荼毘さんですが、ひそかにビビデ・ダビデ・ブーとか呼んでてほんとごめんなさいでも「ダビダンス」見るかぎり遠からずだったな……とか思ってました。
彼もなー、せっかく一命をとりとめたのだから、家族の変わらなさ具合を「バーカ」つって一人背を向けて人生謳歌してればよかったのに。死んだとされてもなお「轟家の一員」として爪痕残そうとするのがいじらしい。
彼の存命はエンデヴァも家族たちも震撼させ、なんなら後ろからザックザク斬りつけられたくらいの衝撃でしょう。でも燈矢君が生きててよかったとも思います。被害者のことを思うと、諸手を上げてとはいきませんが。
轟家はきっと志村家ができなかったことができるはず。志村家にもデク君みたいな人がいてくれたら……と盛大にため息ついちゃいましたけど、志村家の話をしだすと止まらなくなりそうなので略。

一個ちょっと不思議だったのは、ホークスさんについて。彼も家族関係でいろいろあったので、轟一家についてもっと反応示してもいいような。たとえば、エンデヴァへの拒否感とか落胆とか。でも言うほど感じてなさそうだなと。
それは彼が「家族」というものにさほど期待していないのと、好きなのはあくまでも”ヒーロー”としてのエンデヴァで、轟炎司個人にはあまり興味がないのかもしれません。ホークスさんが個人プロフィールを隠しヒーローに徹してきたのであればなおさら。あとは単に「あれこれ言えるほど自分は立派な人間じゃない」とかかな。後ろ暗いことたくさんありそうですし。
単なる妄想100%ですけど、考えるとホークスさんちょっと怖……となります。


●デク君の家出とA組総出の引き戻し作戦
この一件による流れが完璧。以下の恩恵があると感じました。
・デク君はヴィラン(排斥される)側の気持ちを体験
・デク君vsかっちゃん再び━━今度は俺が救ける番!
・ヒーローと市民が連帯(?)
・デク君とともにA組も最終決戦に参戦

A組vsデク君は、規模は違えどかっちゃんvsデク君の焼き増しと捉えてます。言葉が通じない・届かないデク君(かつてのかっちゃん)ととりまバトルするみんな。
この辺、読むたび情緒が乱れます。「一人で架空へは行かせない」って言ってくれる梅雨ちゃんすてき。あと「どこにでも駆けつけて迷子の手を引くのがインゲニウム」ならどこぞのヴィラン親玉も何卒……!と思ってしまう。236話を読んでからずっと、死柄木さんのことは帰り道わからなくなった迷子だと思っている節があるので。
そしてかっちゃん、勝手に見下して遠ざけていた相手に頭下げて、頼むから隣にいさせてくれって言えるのすごい。えらい。大人組ぃ見てるかぁー!!?と煽りたくなります。
デク君の懐柔をかっちゃんが、避難先の人々の説得をうららかさんがやるの、適材適所って感じですごくいい。ひそかに「緑谷保護し隊」を結成していてくれまいか。体育祭で戦ったよしみがある(?)のだし、かっちゃんとうららかさんのパイプももう少し太くなってもいいのでは。

かっちゃんがかつてデク君に向けていた感情は、今の荼毘さん→轟君に通ずるものがあるかもしれません。髪型が似ているせいか、かっちゃんと荼毘さんもオーバーラップします。荼毘さんはIfルートのかっちゃんなのかもしれない。

話ついでに、かっちゃんについて。
36巻ラストの見開きに一瞬ビビって、それからというものBUMP OF CHICKENの『カルマ』が頭の中で鳴りっぱなしです。たぶん「落ちた」「心臓」からの連想。さらに「一人分の陽だまりに僕らは居る」からの連想で、デク君に個性譲渡まである気がしてきました。
まぁかっちゃんは大丈夫でしょう、たぶん。おそらく。きっと。彼のヒロインムーブが留まることを知らないのがおそろしい。


●「ワン・フォー・オール(OFA)」継承者たち


こんなふうに一堂に会すことがあるとは思わず、びっくりしました。壁向いて立つ2人が何気に怖いです。壁に顔めり込んでるのかと思った。

初代、外見が(かすかに)死柄木さんに似ているのは何か意味があるのか気になる。


あと舌の回り具合では誰も勝てないオール・フォー・ワン(AFO)に淡々と対抗できるのかっこいい。そんでもっていまだに「兄さん」って呼ぶのやさしい。

これから明かされるのかはわかりませんが、初代が兄から貰った「ストックする個性」をなぜ2代目に渡したのかが謎です。単純に考えれば2代目の個性がそれだけ強いってことなんでしょうけど。
初代と2代目の関係をデク君とかっちゃんに当てはめるなら、2代目はかっちゃんに似た力を持っているのかもしれません。

無個性でないとOFAの真価を発揮できないならば、デク君=無個性はこれで確定ですね。実はいまだに疑ってました。「自分の代で絶対AFOを止めねばならない」というのがわかりやすく上手い設定だと思います。
あと地味に驚いたのはオールマイトの年齢。OFAを40年保持ってことは、彼今アラフィフ!?マジか。


●トガさんについて
トガさんについてと題しながら、先にトゥワイスについて。「俺は俺のことなんかとっくにどうでもいいんだよ」と叫ぶトゥワイスまじデク君だなと。
彼は何かが違っていればいいヒーローになったに違いありません。デク君と同じ魂を持つ人から放たれる「サッドマンズパレード」が哀愁を誘います。
そしてしばらくしてからトガさんの「人を助ける人がヒーローなら 仁くんは人じゃなかったのかな」が悲しい……!

うららかさんと戦っているときのトガさんは、正直なにを言っているのか、言わんとしているのかよくわかりません。
「私にとってはこれが普通、だから否定しないで遠ざけないで、私を見て」ってことなのか。自分が当たり前でフツーだと思っていることを、他人から「責任は受け入れなきゃいけない」なんて言われたら、そりゃ怒りたくもなるわなと思いました。そんなに言われるほど自分の存在は罪深いのかと。
トガさんの「好きな人と一つになりたい」という思いは、亡きトゥワイスとの間で成就される気がします。
残されたトゥワイスの血を、彼女はどこでどのように使うのか。できれば「哀れな男」を「哀れでない男」にするような使い方をしてほしい。「みんなが最高のヒーローになるまでの物語だ」と言ってますし、ヴィラン側にもヒーローになれる人が出てきてもいいのでは……?


●似ている人々

このコマを見て初めて、ステインがオールマイトに似ていることに気づきました。ステインは「オールマイトになれなかった八木俊典」ってこと?

あとこれは勘違いだろうな~レベルで、相澤先生と死柄木さんも外見似ている気が。死柄木さんやたら相澤先生のこと褒めるし。
相澤・死柄木間にもラインが引かれている気がしつつ、いったいどんなつながりなのかがわかりません。こじつけるなら、ひたすら生徒を守ろうとするイレイザーヘッドに実父とは対極の姿を見ている、とか?



死柄木さんについてはまだまだ言い足りないことが100くらいありますが、ひとまずこのシーンを見れたので報われました。


そのまま!手を!引いてあげて!!


毎回よくこんなに書くことあるなと思うものの、人物造形がよくできているので妄想が留まることを知りません。轟家については他にももっと書きたいことあったし、あとスターアンドストライプとかレディ・ナガンとかついに明かされた内通者についても書きたかった。

すでに最終章に入ってるとはいえ、これが「みんなの物語」だとするなら残るB組メンバや他校の人々が登場するはず。もしジェントルとラブラバが協力者として出てきてヒーローしてたら泣いちゃう。
とはいえ先は長いんだろうなぁー!映画やアニメを見ながら気長に待ちます。