ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【ナイブス・アウト 名探偵と刃の館の秘密】映画になるべくしてなった探偵もの

ある資産家の85歳の誕生日。家族とともにお祝いした夜、その資産家は死んだ。自殺と思われていたが、名探偵・ブランのもとに匿名の調査依頼が舞い込む。資産家の死をめぐり、家族たちと名探偵が奔走する話。


ダニエル・クレイグ氏が探偵役ということでずっと気になっていました。続編がNetflixで配信されるそうで。めでたい!

内容は「ザ・探偵映画」という感じ。小説ではなくあくまでも映画、映像向きの作品だと感じます。
なにせ登場人物が多い。資産家の子供たちとその伴侶、そしてさらにその子供(孫)たち。お手伝いさん、看護師さん。
小説だったらきっと故人とのエピソードや登場人物同士の会話でキャラに厚みを持たせられたでしょう。ただ今回は映画なので、俳優さんの演技によって視覚的・直観的に人となりがわかります。見分けるのも余裕だぜ。
故人との間に起こった「秘密にしたいこと」がみんなそれぞれ異なる点からも、人となりが十分伝わってきて見事だと感じました。

そして二転三転するストーリー。
資産家の死にまつわる話もそうですけど、残された家族たちへの「ある課題」から、中盤で攻守逆転するのがすごくおもしろかった。
序盤の登場人物紹介&当日夜に何があったかの回想後は、ひたすら状況が高速反転していきます。まるでオセロをひっくり返すみたいに。視聴者は探偵だけでなくいろんな人たちの目線に立てて「実際に何が起こったのか」がわかるため、非常にハラハラさせられました。
ただラストの探偵の解説は、納得できる部分と腑に落ちない部分があります。その推論はわかるけれども、やや爪が甘いのではないかと。
とはいえ映画としても探偵ものとしても非常にうまく話が練られていて、よく考えたなと思いました。完成度が高いです。あとサスペンダー付きスーツを着こなすダニエル・クレイグ氏がシンプルに強い。

これだけ1作目がおもしろいと、2作目はいったいどうなるのか。やりつくした感がありますが、新しい趣向を凝らせるのから2作目を作るのでしょう。気になります。
次作の主な舞台(?)は豪華客船でさらに華々しくなりそう。

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