ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【オールド・ガード】不死? 何それおいしいの?

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何世紀にもわたり、影ながら人々を助けてきた4人の不死身の戦士たち。新人が加わると同時に、彼らの能力を知った製薬会社から狙われることとなった。不死者たちの戦いと心境を追う話。


主演のシャーリーズ・セロンさんのファンです。これが観たくてNetflixに登録しました。
バトルの格好よさももちろんのこと、お話もとてもおもしろかった。題材的にシリアス寄りではあるものの、暗すぎずクスっと笑える場面もたくさんあって、安心して観ることができました。
あと音楽! 音楽がいい! 詳しくないので「●●系」という表し方はできませんけど「ここでこういう曲を入れるのか」と今までにない音楽の使い方と感じました。

不死者たちがとにかくかっこいいです。みんな生粋の戦士ですし、というかそういう人じゃないときっと不死者にはなれないのでしょう。かつ数百年以上戦い続けているわけで、動きが只者ではありません。
その中でも頭一つ飛びぬけているのがセロン氏演じるアンディ。ごつい獲物持ってんな~と思ったら出自を聞いて納得。わかりみ深すぎて思わず笑ってしまいました。まさに戦士の中の戦士。

バトル(動き)だけでなく、彼らの精神性も生きた年月に伴っているところがいい。何事にも動じないところ、人生の辛酸をなめてきたところ。きっと「彼らが生粋の戦士である」ことも影響しているのでしょう。
そう考えると、人の一生のなんと短いことか。あと数十年生きたとして、いったい自分はどのくらい円熟度できるだろう……まだまだおこちゃまであることは自覚しているので、もう少し落ち着きと品性を養いたいものです。

一方で製薬会社サイドは、不死者たちが手放したいと思っている不死性をなんとか得ようと躍起になっているのが滑稽でした。死にたくない人々と、いつ尽きるともわからない生に厭いている人々と、対比がすさまじい。
カテゴリとしては自分も製薬会社サイド(必滅者)に間違いなく入ります。だからこそ同属として見ていて痛々しいし「もうやめなよぉ!」と恥ずかしさでいっぱいに。

映画に出てくる製薬会社、特にその代表って、どうしてこう一人もひとりもロクデナシばかりなんだろう……そうでないとストーリーがなりたたない、というのはさておき。代表者ばかりでなく、研究者たちでさえ「人体実験してもヘーキ」というのがちょっと違和感あります。
知り合いの研究者が前に「(動物実験をしている自分は)冗談じゃなくいつか地獄に落ちると思う」と言っていたことが忘れられません。そういうメンタリティの人たちが多いはずだから、フィクションとはいえ非人道的実験がされているとついモヤついてしまう。

そもそも製薬会社サイド、そんなに自分たちが良いことをしていると思うなら事前に不死者たちに相談するべきでは……? 「あなたたちにこういう協力をしてもらえたらこんなふうにいいことが!」とちゃんと説明すべき。
黙って隙をついて拐かそうとするのは、きっと同意が得られないとか、悪いことをしているという自覚があるからでしょう。悔い改めるがよい。

あと気になったのは、歴史ネタがちょこちょこ挟まってくること。
なにせ何百年も生きてる人たちなので「●●とは知り合いだった」とか「この状況は●●と似てる」「いや××だろ」とか、年長者あるあるみたいな感じでぶっこんでくれます。
世界史は詳しくないので全然わかりませんでしたけど、知ってる人からすれば「なるほど~ww」という笑いポイントなんだろうなと。わからないのがクヤシイです。

すでに続編の制作が決定しているそうで。不死者の選定基準やメカニズムも気になるものの、彼らの長い長い長すぎる旅路の果てがどうなるのか気になります。