ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【屍鬼】いつか読み返したい心の殿堂入り

高校二年生のとき、なぜかふと気になって読みました。文庫版5巻を、二日で一気に読んだことを覚えています。二日目はほぼ徹夜で、深夜にぼろくそ泣いて呆然としたことも。
そこから再読していませんし時間が経っていることもあり、細かいところは記憶がおぼろ気です。ただ「ごっつ泣いた」ことと「ラストの衝撃」が今も残っていて、この本は心の殿堂入りを果たしています。

 

本作はたくさんの登場人物がいて、みんな生い立ちも考えも、たどる結末もさまざま。
そして終盤はそれぞれの思考と葛藤、選択が怒涛のように押し寄せて、それだけでもう飽和状態になりました。

読了後は一人ひとりの思考と感情をトレースしたり、「あの人はこれからどう生きていくんだろう…」と考えたりして、しばらく頭の中が戦場でした。
自分のふだんの生活と、物語「屍鬼」の中で描かれていることとのギャップがありすぎて。頭の中は「屍鬼」なのに、自分の生活は日々淡々と過ぎていく。
平和であることのありがたさと、彼らにはその平和が続かなかったことと。本当、あの人やあの人はこれからどう生きていくんだろうと、沈みながら生活していた覚えがあります。

 

一番揺さぶられたのは、静信さんと沙子ちゃんです。
関係性もすっごく好きで、二人が一緒に話しているだけで悶えてました。「お互いに相手の苦しみが想像できて、感化し合うことができる」ってすさまじく尊い関係だと思うんです。
ただ、静信さんが最後に語った「なぜ生きなければならないのか(だったかな?)」は5~6回読みましたが意味がよくわかりませんでした。今だったらわかるかな、と淡い期待を抱いています。

他にも揺さぶられた人はたくさんいて、夏野の兄貴分と看護師さんの二人、あと沙子父、執事。木の上にいた看護師さんも(かなり記憶が曖昧なので、名前もわからない上に役割も違っているかも……)

主人公格の尾崎先生と夏野君には、特に何か思った記憶がありません。
尾崎先生は若干ありますが、夏野君はほぼなし。読んだ当時、年齢が近かったですしもう少し何か思うところがあってもよさそうなのに、どうしてなのか。逆に大人になった今の方が、夏野君には感化されるかもと想像してます。

 

いつかまた再読したいと、読み終わった直後くらいからずっと思っています。ただ勇気が出ません。
あの頭をガンガン揺さぶられるような衝撃をまた味わうのか……と思うと、おいそれと手が出せず。でも大人になった今、読んでみるとまた感じ方が違う気もするので、楽しみなのも確か。そう遠くないうちに再読したいです。