ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【呪術廻戦】夏油傑と乙骨憂太をわけたもの

乙骨君も夏油さんも「仲間大好き」なのは同じなのに、どうしてあの二人闘ってるんでしょう?
劇場版のことを考えていたらそんなふうに思えて遠い目になってしまったので、綴ってみました。特に結論が出たわけではありませんが。


以下はコミックス「呪術廻戦」と「劇場版 呪術廻戦0」を下敷きにしています。

 

「仲間が大事」なところは共通しているのに、いったいなにが夏油さんと乙骨君の命運をわけたのか。
一番は、やはり「二人が同じ経験をしていない」ことでしょうか。すごく当たり前すぎる……。

じゃあもし、乙骨君が夏油さんと同じような経験をしたら、やはり「猿は許さん」となるのか。これはちょっとわからないなぁと思います。同じ道をたどるかもしれないし、踏みとどまるかもしれません。

ただ「呪術廻戦0」でもけっきょく「仲間が害される」とわかった途端に乙骨君、思いっきり夏油さんにケンカ売ってましたね。しかもかなり過激なことも口走って。
「0」では戦う相手が呪詛師でしたが、これがもし非呪術師だったとしたら。やはり同じように力を振るうのか?

 

もし非呪術師相手に踏みとどまれたら、それは五条先生の教育の賜物…なん……でしょうか? そんな気もするしそう思いたいし、ただ五条先生って実はそこまで何もしていない気もしますし。ちょっと判断がつきません。

とはいえ、五条先生の教育の成果だったらいいなーとは思います。また、五条先生が教師を目指したのは夏油さんがきっかけでしょうから、第二の夏油さんを生むことにならなくてよかったねとも思う。
ただ、先生が一番救いたかったのは、まさにその親友のはず。なので、彼がこの先何をしようと夏油さんだけは救えないのがすごく悲しい……でも当の本人があまりそれを悲しいとは思っていなさそうな五条先生がすごく五条先生。

五条先生についてはずっと考えていることがあるので、また別で書こうと思います。

 

最後にもう少しだけ夏油さんのことを。

改めてコミックス8~9巻を読むと、夏油さんのやっていることって本当にハチャメチャですね。
仲間である呪術師を(たぶん)助けたくて呪詛師になったのに、その守りたい人たちから敵認定されてるってハードモードがすぎる。どきどき悲しくなったり、虚しくなったりすることはなかったのでしょうか。

彼が本当のところ、何を考えていたのかはよくわかりません。
百鬼夜行では乙骨君を獲る気満々に見えたものの、いったいどこまで本気だったのか。威勢のいいこと言ってましたが、仲間を逃がす算段はしてるし、なんとなく「もう疲れたから最後にいっちょデカい花火あげますか」みたいにも見えます。


だいたい、本当に里香ちゃんがほしかったなら、あんなガチンコバトルしなくてももっと穏便に得る方法はあったでしょう。ほんと手段を選んでくれ、と思います。
ただそういう夏油さんがすごく好きなんです。自分の傾向として「ねじ曲がりくねりながらもそうとしか生きられない人」がすごく好きで。誰か彼を救ってくれーと思う。
そしてなんとなくですが、夏油さんを救える可能性があったのって、虎杖君くらいだと思うんですよね。今まで登場している人たちの中で選ぶとしたら。
学生時代、まだ夏油さんが大いに悩んでいた時に虎杖君がいてくれてたらよかったのに。心底そう思います。


とはいえ虎杖君でなくても、学生夏油さんの周りにいる人たちが、少しずつ分担して彼をつなぎとめることもできたと思います。たぶんタイミングがよくなかった。いろんなタイミングがずれたり重なったりして、「夏油さんと関わりたかったけれど関われなかった人たち」がいる気がします。たぶん五条先生もそのうちの一人。

乙骨君と夏油さんを分かったのもけっきょくそこで、「周りの人との関わり方」だったのではないかと。その集大成としての呪詛師・夏油傑なのだろうと思っています。

呪詛師になったからつながれた人々と、その道を選んだから袂を分かった人々がいる。果たしてどちらがよかったのか。

 

仮にもし本当に、学生夏油さんと虎杖君の接点を持つにしても、夏油さんに影響力を与えるなら呪術師であることが必要最低条件。虎杖君が高専と関わるには宿儺の指を取り込まないといけません。そして指を飲んだ時点で、もう渋谷事変までは片道切符。そう考えると、業が深い。

 

「劇場版 呪術廻戦0」を観た感想はこちらに綴ってあります。主に呪霊の造形と夏油さんのことしか言ってません。

suminotosyo.hatenablog.com