ほねぐみ

本、映画、ゲームの感想など徒然

【マトリックス レザレクションズ】映画感想。螺旋階段のように続くマトリックス

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映画を観てきました。

前作1~3はリアルタイムで劇場で観ていますし、今回もAmazonPrimeでおさらいしています。なので、前作未視聴の人がストーリーについていけるのかはわかりません。
なんとなくついていけるんじゃないかな~とは思うものの、かなり想像力で補う必要があるかも。あと前作からのネタがちょいちょいサンドウィッチされているので、視聴済みの方が楽しめるのは間違いなしです。

以下、感想です。

 

自分は製作者・出演者のインタビューを読まないので、なぜ今になってマトリックスの新作を作ろうと思ったのか、どういったコンセプトだったのかはわかりません。いま作ろうと思ったきっかけがあったり、思いが込められたりしているんだろうなーと想像するだけです。

なぜそんな想像をしたかというと、新作が「新しい」ものではなかったから。あくまでも前作1~3を土台とした、焼き増しというか、リブートというか、そんな感じだったからです。

話そのものは前作から続いている。だから前作1~3を観た方がわかりやすい。ただ、続きではあるものの、そこから何か新しいものが生まれるかというとそういうわけではなく、かといってリメイクでもない。
では「新しい」要素が皆無かとそれでもなくて、新しくもある。あくまでもほんの少し、スパイスのように。それが効いていたおかげで、2時間という長作でありながらまったく退屈せず観ることができました。とてもおもしろかったし、楽しむことができました。

 

新しい知見がないという点で、「『レボリューションズ』からの正当なる続編」を期待していた人にとっては、期待外れになってしまうのではないかなと想像します。
ただ、前作のネタがビュンビュン飛び交っているし、レボリューションズから時間が経って、制作陣側の新しい解釈や演出、技術が取り入られているだろうことから、前作とは違う「新しさ」が感じられます。前述した「『新しい』要素が皆無かとそれでもなくて、新しくもある」とは、そういう意味です。

なんというか、実家のような安心感、でしょうか。前作を下敷きに「きっとこうなるだろう」とあらすじが読めて、見ていて安心する。でもときどき「お、このパターンはなかったぞ」というスパイスが差し込まれる。その按配がちょうどよくて、安心しつつもドキドキハラハラ、でも「きっと最後はこう!」の安心・安定の着地点。
とはいえ、ところどころ難解な点もあったので、時間をおいてからもう一度見直したいなと思いました。

 

安心感もいいですが、できればマトリックス内で生きるプログラム側の話も見てみたいと思いました。
仮想現実世界・マトリックス内で生活するプログラムたちは、学習し成長していきます。それこそ人間のように。
そのプログラム側から見た人間とは、そしてマトリックスとは何か、というストーリーが観てみたい。きっと、前作1~3とはまた違ったテイストになる気がします。

たとえば、自分のことを人間だと思いながら暮らしていたプログラムの話とか、マトリックス内のおかしな挙動を調査するプログラムの話とか。

前者なら、ある日突然「自分はプログラムである」と気づいたときの衝撃と感情の揺れ、そして「人間とは何か」「生きるとはどういうことか」が掘り下げられます。
後者だったら「死ぬ予定ではなかった人間が、マトリックス内で突然死んでしまった。なぜか?」を調査するミステリー仕立てにできそう。ちょっと、映画の「ザ・セル」に雰囲気が近くなるかもしれません。

 

最初に書いた通り、今作もとてもおもしろく、個人的には満足です。
ただ一点だけ難を上げるとすれば「ネオとトリニティの愛さえあれば万事OK」みたいな流れが好みではありません……。
ネオもトリニティも、お互いのことになるとそれしか見えなくなる点が、愛らしいといえば愛らしい。ただ、ちょっと、いかがなものかと、思ってしまう自分もいます。うまく言えませんが。
なんというか、二人ともお互いのこととなると、途端にポンコツになるんだよなぁと。そこが二人の唯一の欠点な気もして、とても愛らしいのですけれど。

 

トリニティといえば、演じたキャリー・アン=モス氏は前作よりも格好よく美しかったです。加齢を味方につけるって、やっぱり俳優さんてすごい。
そしてモーフィアス役の人がずっと楽しそう(衣装がカラフル)で、観ているだけでハッピーな気持ちになれました。